轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
いしかりがわ
石狩川
本庄 陸男
「石狩川」大観堂、1939(昭和14)年5月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 253,535 字 · 506 页
それの駆使については、阿賀妻以外に人は無いと思われた。彼らの家中も双手をあげて推挙した。是非とも成功して貰わねばならぬ――と、しかしそう思うこと、邦夷ほど切実なものはないのだ。そして、信頼する彼の阿賀妻が、文字通り、いのちに懸けてそれを成し遂げるであろうことはあきらかなことだが、けれども、邦夷の胸中を去来する不安はなかなかに消え兼ねた。捉えどころのない故に一層根強いものであった。ごつんごつんと頭をたたかれたような先年来の労苦が、半夜の瞼を濡らすのであろう。
宗藩の意志に従った彼らの支藩は、悪く考えたならば、その故にまた宗藩から投げだされたと云い得る。領内の士卒五百名を率いて、白河口の対陣になすこともなく過した三旬、中山口に兵をかえして、長州の応援を得た秋田藩を破ったときには、国論帰順に向い、国老遠藤なにがしをして、官軍の本営に悔悟陳謝していた。そのときを境にして、彼とともに、この家中の立場は完全に一変したのだ。兵を動かした損害は、人間をうしない、用度金を浪費したばかりではなかった。敗退と決定したあとに、衰亡の途が黒い口をあけて待っていたのである。