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ちょうにんげんエックスごう

超人間X号

海野 十三

「冒険クラブ」1948(昭和23)年8月~1949(昭和24)年5月号、「超人間X号」光文社、1949(昭和24)年12月刊行の上記単行本で完結

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 89,025 字 · 178 页

青空文庫

「戸山君、これはだめだよ。きっとちがうところへはいったんだ。このとおり、中には何もないじゃないか。出ようよ」

「いや、きっとここには何かあるはずだ」

そのことばが終るか終らぬうちだった。

「あなたがたはどこまで行くのですか」

どこからともなく、ひくい声が聞えて来たのである。

「谷博士のところへ行きたいんだ」

戸山少年は、どきょうをきめて、元気よく答えた。

「それでは戸をしめてください。ここをしめてもらわないと、私は動けませんよ」

だれが話しているかは知れないが、人間のものとは思われなかった。

ここまで来てひっかえしては、かえって怪しまれることになる。だがまぐれあたりで、壁の扉はひらいたものの、扉をしめる合言葉までは知らないのだった。だが、「ひらけゴマ」ということばで扉がひらいたのだから、あのアラビアンナイトの中の文句どおりに、「とじよゴマ」といって見たらどうだろう。

こう思った戸山少年は、手をあげて叫んだ。

「とじよ、ゴマ!」

その瞬間、音もなく、壁はまたもとのようにぴたりととじた。そしてその小さな部屋はたちまち、矢のように下におりはじめた。

エレベーターだ。