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ちょうにんげんエックスごう

超人間X号

海野 十三

「冒険クラブ」1948(昭和23)年8月~1949(昭和24)年5月号、「超人間X号」光文社、1949(昭和24)年12月刊行の上記単行本で完結

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 89,025 字 · 178 页

青空文庫

しゃがれ声の主

博士のほかに、人が住んでいないこの研究所は、それから無人のまま放置された。しかし博士の気絶のあと、この構内ではいろいろなものが動きだして、奇妙な光景をあらわしたのであった。

この大広間の二回にわたる爆発により、室内中には黄いろい煙がもうもうとたちこめていて、その中ではすべての物の形を見わけることができなかった。

だが、その黄いろい煙の中で、いろいろなものが動いていることは、怪しい音響によっても察することができたし、またときどき煙の中から異様なものが姿をあらわすので、それとわかった。その中でも、もっとも奇怪をきわめたものは、何者かが発する声であった。それはだれでも一度聞いたら、もう永遠に忘れることがないだろうと思われるほどの、気味のわるいしゃがれ声であった。それは、死体となって一度土中にうずめられた人間が、その後になってとつぜん生きかえり、自分で棺桶だけはやぶりはしたものの、重い墓石をもちあげかねて、泣きうらんでいるような、それはそれはいやな声だった。

「ああ、寒い、寒い。寒くて、死にそうだ」

そのいやなしゃがれ声がつぶやいた。

しゃがれ声の主

「おお寒む。