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ちょうにんげんエックスごう

超人間X号

海野 十三

「冒険クラブ」1948(昭和23)年8月~1949(昭和24)年5月号、「超人間X号」光文社、1949(昭和24)年12月刊行の上記単行本で完結

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 89,025 字 · 178 页

青空文庫

すっかりきれいになっている。そして大ぜいの人が出はいりし、トラックもひんぱんに、りっぱになった道路を走って、工場の製品をはこんでいる。

少年たちは、門の前まで来ると、真空管の中へ吸いこまれるように、塔の中へつかつかとはいっていった。

「あ、あそこに谷博士がいるよ」

「どこに。ああ、あれか。なるほど、谷博士さんそっくりだ。しかしおかしいぞ。博士は重病なんだから、こんなところにいるわけはない。だれかにたずねてみよう」

戸山少年がそばを通りかかった職工のひとりをよびとめて、たずねてみると、

「あれがこの工場主の谷博士ですよ」

と答えたから、少年たちは、あッとおどろいた。

そのおどろきの声が、博士に聞こえたらしく、博士はきつい顔になって、ずかずかと少年たちの方へやって来た。

「君たちは、こんなところでなにをさわいでいます」

そこで戸山が出て、

「谷博士に目にかかりたいと思って来たのですが、博士はどこにいらっしゃいますか」

というと、

「谷博士は、わしです」

「いいえ、あなたではない」

「わしが自分で谷だといっているのに、なにをうたがいますか」

「それなら申しますが、谷博士は、目をわるくして、今も病院で目を繃帯し、まったくなにも見えないのです。