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ちょうにんげんエックスごう

超人間X号

海野 十三

「冒険クラブ」1948(昭和23)年8月~1949(昭和24)年5月号、「超人間X号」光文社、1949(昭和24)年12月刊行の上記単行本で完結

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 89,025 字 · 178 页

青空文庫

あのかぼそい身で、このように綱をほどき、それからあの秘密の出入り口の鍵をさがしだして、うまうまと逃げてしまったんだ。なんという、すばしこいやつだろう。

「ああ、そうか。あの娘の頭蓋の中に、警官の脳髄をいれたのが、こっちの手落ちだったな。よほど頭のきく警官らしい」

それにちがいない。検察庁の特別捜査隊にその人ありと聞こえた、名警部山形だったから。

少女のからだを持った山形警部は、たいへんなかっこうで、研究所の外にのがれでた。それはやっと夜が明けはなれたばかりの時刻だった。研究所からすこしいったところで、彼は非常線をはっている警官を見つけて、その方へとんでいった。

その警官は、夜明けとともに、眠気におそわれ、すこしうつらうつらしているところだった。その鼻先へ、とつぜん裸の少女がとびだして来て、わッと抱きつかれたものだから、その警官は、きもをつぶして、その場に尻餅をついた。

「おお、足柄君。わしは山形警部だが、大至急そのへんの家から、服を借りて来て、わしに着せてくれ。風邪をひきそうだ。はァくしょん!」

と、少女姿の山形警部は、相手が部下の足柄君であることをたしかめ、うれしくなって、急ぎの仕事を頼んだ。