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さこく

鎖国

和辻 哲郎

日本の悲劇

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 443,306 字 · 875 页

青空文庫

た。その自由思想の故に迫害を受けたと云われるが、彼の立場は本能から神の理性的認識に至るまでの精神の発展を説くにあった。やや遅れて現われたイブン・トファイル(1185歿)も同じく医学者・数学者を兼ねた哲学者であって、同様に人間精神が、超自然的啓示によらず全然自然的に発展して自然及び神の認識に達する段階を説いた。その同時代の後輩としてかの有名なコルドバのアヴェロエス(1126―1198)が現われたのである。彼はアリストテレースを尊信すること厚く、人間に於ける完成の絶頂、我々が一般に知り得ることを我々に知らしむべく神の与えた人、と讃めたたえた。だから彼の仕事の中心もまたアリストテレースの註釈であって、その大部分はラテン訳によってのみ知られている。彼はアヴィチェンナの質料重視の立場を更に押し進め、形相は萌芽的に質料の中にあってより高き形相の影響の下に展開せしめられるのであると説く。また彼は理性の受動的側面を認めるアリストテレースの説に対して普遍的理性の両面即ち能動的理性と質料的理性とを説き、質料的理性といえども受動的ならざることを力説した。彼が汎神論的であると云われるのは、この普遍的能動的な理性が個々人に分れてその生存中の精神となり、死後はその本来の普遍性に帰るが故に、個人的霊魂の不滅は問題とならないと説いたため