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さこく
鎖国
和辻 哲郎
日本の悲劇
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 443,306 字 · 875 页
四年に一回位の割で、一つの地方に五六万の勢子を集め、大狩猟をやる。捕えた羊の一部は屠殺するが大部分(三四万位)は毛を刈り取って放すのである。以上の両方から出る毛は、一応公倉に貯え、人民の各家庭には必要な分量を粗毛で配分する。女たちはその荒い毛を紡ぎ織って家族の衣の需要を充たすのである。それが終ると、インカのための繊毛の紡織が要求される。この紡織は非常に技術の発達したもので、絹のような光沢を持った柔かい薄い織物から、絨氈のような厚いものに至るまで、いろいろなものが出来る。首府においてその年度の必要量や種類を決定し、それを各地方に割当てると、専門の官吏が原料の毛を配分し、生産さるべき織物を指定する。そうしてその仕事の進行情況をも監督する。もっともこの監督は、人民がおのれの衣類を作る仕事に対しても行われるのである。その監督の趣旨は、人民の奢侈とか、過剰生産とかを取締るというのではなく、「何人も必要な衣類を欠いてはならない」というのであった。が同時にまた、「何人も働かずして衣食してはならない」という思想も、そこに含まれていたと云われる。
衣食以外の労働で目ぼしいのは採鉱冶金・金銀細工・建築・土木などであるが、これらの労働を計画的に管理する方法もまた綿密に定められていた。