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さこく

鎖国

和辻 哲郎

日本の悲劇

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 443,306 字 · 875 页

青空文庫

四百年後の今日に人類の最大の問題として取り上げられている国際的組織の問題は、まずこの時に、世界史上初めて、その芽を出したのである。勿論その当時に於てはこの芽が、即ち一つの視界が、何に成長して行くかは解らなかった。征服者たちの態度はむしろ合一と反対のものを示していた。しかし人倫的合一はどの段階に於ても常に「私」を媒介とする。一つの視界の中にはいって来た世界が、一つの人倫的な組織にまで成長するためには、数多くの否定を重ねなくてはならなかったし、またならないであろう。その艱難な道の出発点としての視界がここに初めて開けたのである。

丁度その時代に、ニコラス・コペルニクスが現われて、ここに始まった時代を力強く性格づけた。彼の生れたのは、ヘンリ航海者の歿後十三年、一四七三年で、歿したのは前述のメキシコ艦隊がまっすぐ西に太平洋を横断した年、即ち一五四三年であった。クラカウ大学で学んだ後、イタリアに行き、ボロニャやパドゥアの大学で三十二歳の頃まで研究につとめたが、地動説を考え始めたのはドイツに帰ってハイルスベルクの司教になってからである。彼はその説をただ親しい学者にのみ打ちあけたらしい。