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さこく
鎖国
和辻 哲郎
日本の悲劇
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 443,306 字 · 875 页
その大内氏が一朝にして覆滅せられ、山口の町が戦乱の巷になるであろうなどとは、シャビエルには勿論思いも寄らぬことであった。で平戸に引き返したシャビエルは、ポルトガルのインド総督や司教の公の書簡と、進物として丁子・時計、その他マラッカの長官から贈られた種々の品物などを携え、フェルナンデス及び日本人二人をつれて、海路山口に向った。それは一五五一年の春であった。
山口ではシャビエルは、公式の書簡と多くの進物とを領主に呈するため、法服をつけて公式に謁見した。領主は珍らしい品々を見て非常に喜び、布教の許可を与えた。この町及び全領土においてデウスの教を説いてよい、それを信ずることは自由である、という意味を書き記した立札を街に立てさせたのである。また宣教師たちに害を加えないよう人民に命令し、宣教師たちの住居として一つの僧院を与えた。これは最初の山口訪問の際とはまるで異なった情勢であるが、それを導き出したのはシャビエルの日本国情視察の結果なのである。
こうして山口の町では、鹿児島の時とは異なり、迅速に活溌な伝道が開始された。町の人たちは新らしい教を聞くために、或はさまざまの珍らしい話を聞くために、朝から晩まで詰めかけて来た。