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さこく
鎖国
和辻 哲郎
日本の悲劇
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 443,306 字 · 875 页
その質問はしばしば彼らが「難問」と云い現わしているように答え難いものであった。シャビエル自身はこの質問攻めを、予期しなかった「迫害」だと云っている。日本人は時刻を問わず訪ねて来て、夜中までも質問を続ける。身分のある人はおのれの家に招いていろいろなことを聞こうとする。従って祈祷・黙想・思索などに没頭の出来る暇がなくなってしまう。精神上の休養をとる時さえもない。最初の間はミサを行うことさえも出来ず、立てつづけに質問に答えていなくてはならなかった。こうして、祈祷や食事睡眠などの時間さえも不足するというような状態が、シャビエルの山口滞在四五カ月の間続いた。この経験によって、シャビエルは、日本人の質問に答えるためには学問があって弁論に巧みでなくてはならぬ、詭弁に対しては即座にその矛盾を指摘し得なくてはならぬ、とロヨラに報告している(一五五二年一月二十九日コチン発)。九月に山口へ呼び寄せられたトルレスはシャビエルからこの情勢をきいたのであろう。同じようにこの質問攻めのことを述べて、この地に来るべき宣教師は、高尚な難かしい質問に答え得るだけの学問がなくてはならぬ、とインドへ書き送っている(一五五一年九月二十九日)。