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さこく
鎖国
和辻 哲郎
日本の悲劇
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 443,306 字 · 875 页
がそれらは後のことである。シャビエルが去ったあとの山口は、さしずめどうなったであろうか。
山口に残ったトルレスやフェルナンデスの報告によると、シャビエルが出発したその日のうちに、山口の町の僧侶たちが、非常な勢でトルレスたちの住居の門から闖入し、トルレスたちやその言説に嘲笑をあびせて時を過したという。この出来事によってトルレスたちは、彼らがいかにシャビエルを怖れていたかを知ったのであった。がそれだけにシャビエルの出発はあとに残ったものには心配であった。僧侶のうちでも禅宗のものは甚だ苦手で、その質問には答え難い。聖トマスやスコトゥスといえども、それに満足に答えることは難しかろう。神の特別な恩寵なくしては彼らを説破することは出来ない。そうトルレスは感じた。しかし幸にも彼は、その特別の恩寵によって、シャビエル出発後の八日か十日の間に、身分あるものや学者などを混えて五十余人のキリシタンを作った。トルレスがフェルナンデスの通訳によっていろいろと質問に答えたとき、日本人たちは、この新らしい宣教師もまた信頼しうることを知って、大変穏やかになって来たのである。
ところが丁度その頃に戦争の噂がはじまった。