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さこく

鎖国

和辻 哲郎

日本の悲劇

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 443,306 字 · 875 页

青空文庫

第四章 ビレラの畿内開拓

一 ビレラ京都に来る

この時トルレスは、布教の活動を萎縮させるどころか、逆に劃期的な飛躍を試みようとした。それは十年前のシャビエルの計画に従って日本の精神的中枢を突くことであった。彼はビレラを起用して京都に派遣することにした。目標はさしずめ叡山であった。元琵琶法師のロレンソが通訳として附き添うほかに、府内の教会で養成せられた日本人青年ダミヤン、近江坂本の出身である信者ヂヨゴなどが同行した。インド管区長ヌネスが起草し、ロレンソ自身が日本語に訳した教義書を、彼らは携えて行った。

この一行が盛大なミサに送られて豊後を出発したのは、一五五九年の八月末か或は九月初めであった。

第四章 ビレラの畿内開拓

一 ビレラ京都に来る

ビレラの一行の瀬戸内航海は、同船者からかなり苛められたようであるが、しかし四十余日を費して無事に一五五九年の十月十八日に堺についた。「堺の町は甚だ広大であって、大きい商人が多数にある。この町はヴェニス市のように執政官によって治められている」とビレラは報告している。が彼らは数日間ここで疲れを休めただけで、真直に叡山をさして進んで行った。先ず坂本のヂヨゴの家に行き、前に豊後に連絡のあったダイゼンボー(大泉坊か)を訪ねたが、その僧は既に死し、後継者は無力であった。