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さこく

鎖国

和辻 哲郎

日本の悲劇

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 443,306 字 · 875 页

青空文庫

四 河内飯盛地方の開拓

二人に導かれて松永久秀にも会い、説教を試みた。山城守の招請は嘘ではなかったのである。今はビレラが奈良に来て彼らに洗礼を授けなくてはならぬ。神父が松永久秀と近づきになり、その保護を得る望みもある。そのためにビレラを奈良へ招く再度の書簡を携えて、ロレンソは堺へ帰って来た。

ビレラはロレンソと共に奈良へ行って、彼を招いた結城山城守や清原外記に洗礼を授けたが、その際山城守の子左衛門尉、沢の城主高山図書(右近の父)など数人の武士にも洗礼を授けた。そうして堺へ引返さずに京都へ帰り、そこで聖霊降臨節を迎えた。

四 河内飯盛地方の開拓

この事件は畿内における急激な教勢拡張の皮切りであって、この後矢つぎ早にいろいろな事件が起ったせいか、当時の最も近い報告書にも記憶の曖昧さを示すものがある。第一ビレラの奈良へ行った時期が精確に記されていない。一五六三年四月二十七日附堺発のビレラの書簡の末尾には、すでに奈良からの招請と死の危険を冒してそこへ行こうとする決意とが記されているから、この招請がほぼその頃であることは疑いがない。しかしその後幾日にして奈良に向ったのであろうか。この事件を比較的詳しく書いたフェルナンデスの書簡(一五六四年十月九日平戸発)によると、初めに派遣されたロレンソは、四日以内に帰らなければ殺されたものと思って貰いたい