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さこく
鎖国
和辻 哲郎
日本の悲劇
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 443,306 字 · 875 页
八 口の津と平戸
前者は倫理的、後者は宗教的な課題であった。ヤソ会士がただ宗教の問題をしか見ず、異教徒をキリスト教に化することをのみその関心事としたことは、ヤソ会士としては当然であったかも知れぬ。しかしそのために倫理的な課題が遮断されたことは、実に大きい弊害であったといわなくてはならない。その一半の罪は、ヤソ会士を介してでなくては視圏拡大の動きが出来なかった日本の政治家や知識人の方にある。無限探求の精神や公共的な企業の精神の欠如が、ここにもうその重大な結果を現わしはじめているのである。
八 口の津と平戸
横瀬浦を焼かれたトルレスはダルメイダや新来のイルマン、ジャコメ・ゴンサルベスを伴って、有馬の武士の船で、島原の対岸高瀬に向った。そこは豊後の大友の領地で、豊後への往復の要衝とされていたところである。ルイス・フロイスは籠手田氏が迎いに寄越した船で、既に一月前からフェルナンデスの行っている「天使の島」度島に向った。こうしてこの後の一年間、トルレスは島原半島の回復をねらい、フロイスは日本布教者としての能力の獲得に努めたのである。
トルレスは一五六四年の夏まで高瀬に留まっていた。