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さこく

鎖国

和辻 哲郎

日本の悲劇

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 443,306 字 · 875 页

青空文庫

反キリスト教側の武士たちも会堂破壊、ドン・アントニオ襲撃などの計画を立てたことがあったが、キリシタンたちの決死の防衛態勢を見た領主たちは、同じように手出しを禁じた。そういう仕方で漸く平戸の教会は、「平和のうちに」存立することが出来たのである。

一五六四年の秋、平戸の教会が回復される機会に渡来した神父のコスタは、日本語を学ぶ上に驚くべき進歩を示し、翌一五六五年のクリスマスの一月ほど前には、自分で告解をききうるほどになった。告解の際の勤めは、トルレスよりもよく解るほどだとさえも云われた。これは平戸や附近の島々の信者たちにとっては、大きい出来事であった。この地方で告解をきいたのはトルレスだけで、そのトルレスが口の津にいるために、もう四年来告解が出来なかった。あとの神父たちは、フロイスもカブラルも、告解をきくほどに日本語が出来なかったのである。だからコスタが告解をきき始めると共に、島々の信者は沸き立った。一五六六年の一月からは、生月島、度島、平戸西岸の村々を廻って、告解をうけた。この地方の古馴染のフェルナンデスも一緒であった。この巡回は島々の信仰を新しく活気づけたが、その後四旬節から復活祭までの営みを平戸の会堂で行う際にも、これまでに見られなかったような活気が現われた。