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さこく

鎖国

和辻 哲郎

日本の悲劇

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 443,306 字 · 875 页

青空文庫

これらの人々は室町時代の高貴な伝統を守ろうとしたのであって、成り上り者である信長に奉仕しようとしたのではなかったが、結果においては、彼らの利用した新興の勢力に逆に利用せられることとなったのである。

フロイスが信長に渡りをつけたのは、この義昭側近の勢力を通じてである。その中で長岡藤孝や明智光秀が当時どういう態度を取っていたかは明かでないが、後に有名となった細川ガラシヤ夫人が明智光秀の娘、長岡藤孝の嫁であることを考えると、満更無関心であったとも思えない。特に関係の深いのは和田秀盛の一族和田惟政である。惟政は藤孝などと共に義昭に従って将軍守り立ての努力をした一人であるが、その親しくしていた(或は兄弟であったともいわれている)高山図書頭ダリヨが畿内キリシタン武士の先駆者であった関係から、かねてキリシタンに深い同情を持っていた。信長の上京後は摂津大和の平定に功を立て、京都の南の押えとして高槻の側の芥川城、ついで高槻城の城主となった。フロイスはこの惟政に働きかけたのであるが、キリシタンでない領主のうちでこの惟政ほど衷心の愛情を以てキリスト教の保護に尽してくれた人はほかにはないと彼は云っている。