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さこく
鎖国
和辻 哲郎
日本の悲劇
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 443,306 字 · 875 页
信長は自分の面前でそれをフロイスに着させ、頻りに眺め入ってその形を讃めた。そうして、出発前の多用なのを顧慮して辞去しようとするフロイスを、強いて引き留めた。
この席でフロイスは、朝山日乗と衝突したのである。この日乗という人物は、法華宗の日乗上人というふうに伝えられているが、法華宗の僧であったかどうかは明かでない。しかし非常な山師で、珍らしい雄弁家であったことは確からしい。もと出雲の豪族で備後に領地を持っていたが、戦乱の間に領地を失い諸国を流浪して歩いた。フロイスによると、尼子に叛いて山口の毛利に頼った時には、彼は、釈迦の示現により仏教改革・皇室復興の使徒と称していた。八九年前京都で買った金襴の布を内裏から拝領の衣と称し、小片に切って、多額の寄附をなしたものに与える、などということもやっていた。それによって彼は山口の寺院を建築し得たほどである。その後毛利氏と松永弾正との間の連絡を計ろうとして東上したが、三好三人衆の手に捕えられ、篠原長房の裁断で西の宮の獄に投ぜられた。しかるに彼は巧みに内裏との連絡をとり、内裏から彼の赦免を求めるということになった。