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さこく
鎖国
和辻 哲郎
日本の悲劇
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 443,306 字 · 875 页
と。
こうして、日乗と惟政との対立が尖鋭化して来た五月の末に、惟政は摂津の諸城の巡視に出かけた。日乗はこの惟政の不在に乗じて事を起すであろう、という噂が立ち、キリシタンたちは危険の身に迫るのを感じた。フロイスはロレンソをして惟政のあとを追わせた。ロレンソは高槻の城で惟政に会って、二通の書簡を書いてもらった。一は将軍側近の三人の重臣にあてて神父の保護を依頼したもの、他は日乗にあてて妄動を封じたもの、である。後者には、「神父は将軍と信長との免許状を得て京都に居住している。その神父を追放しようとする動きがあると聞き、公家をして内裏の意向を伺わせたところ、内裏の方では何事もないとの返事であった。内裏以外の方面の動きであるならば、これは意に介するに及ばないことである。もし神父について何か云い分を持たれるならば自分に通知せられたい。その弁明は自分がする」という意味のことが認めてあった。
この書簡は六月一日に日乗に届けられたが、日乗は激怒して、即夜惟政宛に次のような趣旨の返書を送った。「内裏の宣教師追放令が出たのは五年程も前のことである。綸言汗の如し。追放令は撤回され得ない。