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さこく
鎖国
和辻 哲郎
日本の悲劇
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 443,306 字 · 875 页
この信長の優遇は、前例のないものとして、人々に強い印象を与えた。
翌日、饗宴の後に、柴田勝家がフロイスとロレンソを案内して城の山に登った。信長は城の中に住んでいたので、表の方には大身たちの子息である少年武士が百人ほど詰めて居り、奥の方は侍女のみが用を弁じて何人も入ることが出来なかった。フロイスたちが信長の室に招き入れられると、信長の子息、十三歳の信忠や十一歳の信雄(実際は十二歳であった)も接待に出た。信長が信雄に茶を命ずると、信雄は最初にフロイスの前へ、次に信長の前へ、第三にロレンソの前へ、茶碗を運んで来た。そこで茶を飲みながら、美濃尾張の平野を遠くまで見晴らした。信長は、インドにもこういう城のある山があるか、と尋ねた。それから二時間半か三時間ほどの間、次々に日月星辰のこと、寒地と暖地との相違、諸国の風俗などのことを質問した。その間に信雄を呼んで夕食の支度を云いつけさせたりなどもした。このことは、信長としてはよほど異例であったらしい。やがて立って行ったが、自分でフロイスの膳を捧げ、信雄にロレンソの膳を持たせて出て来た。そうして、急のことで何もありませぬが、という挨拶をした。