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さこく
鎖国
和辻 哲郎
日本の悲劇
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 443,306 字 · 875 页
惟政としては、教義を根本的に理解した上で、また自分がキリシタンとなっても差支えのないように一切を処理した上で、受洗するつもりであったが、その暇を得ないうちに戦死してしまったのである。この惟政の新旧いずれにも囚われない自由な態度は、当時の武士の一つの類型を示すものとして、十分重視せらるべきであろう。
一五七一年九月、惟政の戦死後間もなく、フロイスはインド地方区長に宛てて惟政に関する愛情のこもった長い書簡を送っている。それによってフロイスは、この異教の領主の、護教の功績を永遠に記念したのである。惟政の戦死は、惟政に似合わない油断の結果であった。この時の敵は、曽て惟政の味方であった摂津池田の城主の家臣たちであった。彼らは遠くを達観することの出来ない勇猛一途の連中で、城主を逐い出し池田の実権を握って新興の信長の勢力に反抗しようとしたのであるが、惟政はこの下剋上の現象の故に彼らを蔑視し、警戒を怠って奇襲にひっかかったのであった。
フロイスはこの日、河内の三箇にあって、悲報を聞いた。京都へ帰るために、護衛兵を惟政に頼んでやった使が、この悲報を持って帰って来たのである。