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さこく
鎖国
和辻 哲郎
日本の悲劇
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 443,306 字 · 875 页
の人数を京都の工事場に派遣することを決して中止しなかった。それぞれの部署を互に代り合い、交替して京都に出て来たのである。
この工事の有様はフロイスやオルガンチノを非常に喜ばせた。所は神社仏閣に充ち溢れた偶像の都である。そこにたった二人の外国人がいて、多数の敵の意志に反して美しい会堂を建築している。この素晴らしい状況をヨーロッパ人に想像せしめるために、フロイスは次のような表現を使った。この状況は、ローマかリスボンへたった二人のアラビア人が来て、キリスト教の会堂の側に、モハメッド教のモスクを建てているのと同じである、と。この気持は恐らく当時の日本人には解らなかったであろう。しかしモハメッド教徒との対抗に刺戟されてインドに進出し日本まで来ることになったヨーロッパ人にとっては、この表現は実に多くのことを語っているのである。
一五七六年の夏には、会堂はまだ落成してはいなかったが、オルガンチノはシャビエルの日本に着いた八月十五日、聖母昇天祭の日を選んで、この会堂での最初のミサを献じた。会堂の名も『昇天の聖母』と呼ばれた。この時フロイスはロレンソと共に河内に行っていて留守であったが、諸地方の信者は多数に集まり、盛大な祭が行われた。