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さこく
鎖国
和辻 哲郎
日本の悲劇
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 443,306 字 · 875 页
四 巡察使ワリニャーニの渡来
それは信長の仏教弾圧の一つの現われとしての法華宗弾圧であった。法華宗のキリスト教に加えた圧力が大であっただけに、この事件がキリシタンに与えた喜びも大であった。彼らにとっては信長は、この種の所行のみによっても讃美せらるべきものとなった。
四 巡察使ワリニャーニの渡来
荒木村重の謀叛と安土宗論とのほかに、もう一つ一五七九年における大事件は、巡察使アレッサンドロ・ワリニャーニの渡来であった。
一五七〇年トルレスのあとを受けて日本ヤソ会の指揮を取ったカブラルは、トルレスとはかなり性格の異なる人であった。トルレスはシャビエルと同じく日本人に信頼し、日本人の生活のなかに融け入ることを念とした。だから苦痛を忍んで日本の衣食住の様式におのれを適応させようと努めた。風習の相違の如きは魂の救済の前には末梢的なことに過ぎなかったのである。日本人を宣教師として養成することも彼の熱心に努めたところであって、ロレンソ、ダミヤン、ベルシヨール、アントニオ、コスモ等々、二十六人の優れた日本人が、活溌に日本人教化の実際の成績をあげていた。しかるにカブラルは、トルレスのような柔軟な心の持主でなく、偏狭で、主観的な判断を固持する人であった。