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さこく
鎖国
和辻 哲郎
日本の悲劇
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 443,306 字 · 875 页
彼は日本人教師がこのまま伸びて行けばやがてヨーロッパ人教師を見下すに至るであろうことを怖れ、その成長を阻止する態度に出たのである。その布教の態度もまた、トルレスのように広く政治的な見透しを持ったものでなく、むしろ狂熱的に殉教を煽るというような猪突的なものであった。そういう点から云って、カブラルの指揮はトルレスよりもよほど見劣りのするものであった。彼の在任の末期には、もと十八人であったヤソ会士が五十五人に殖えているが、しかし特に彼の名に結びついた事績は、大友宗麟の洗礼のほかには、殆んどないと云ってよい。
しかるにワリニャーニは、一五七九年七月末日本に着いて口の津で宣教師会議を招集した時に、直ちに「シャビエルの方針に帰れ」と唱道し始めた。日本人は信頼に値する。伝道の主なる目的は、殉教に走ることではなくして、少しでも多くの魂をキリストに近づけることである。それには日本人を教育し日本人の教師を出来るだけ多く作らなくてはならぬ。かかる考のもとにワリニャーニは少年のための学校セミナリヨや専門の学林コレジヨなどの計画を樹て、有馬には早速セミナリヨを造った。これはカブラルの方針とはまるで逆であった。