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さこく

鎖国

和辻 哲郎

日本の悲劇

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 443,306 字 · 875 页

青空文庫

オルガンチノはすでにここで相当の事をしていたのである。各地から安土に集まってくる身分の高い武士たちは、この珍らしい建築を見物に来ては説教を聞き、キリスト教に親しむようになった。そういう人の中からも、土地の人の中からも、洗礼を受ける人たちが続出した。もと近江の守護であった京極高吉夫妻や、信長の金工刀工などもその中にまじっていた。信長の子たち、信忠や信孝も、ますます宣教師に親しんだ。特に信孝は、週に一二回は宣教師館にやって来た。ワリニャーニの滞在中は一層熱心で、特にロレンソと非常に親しくした。ワリニャーニに対してはまるで子が父に対するように振舞った。これは日本では珍らしいことであった。

こういう情勢を見たワリニャーニは、オルガンチノの判断通り、セミナリヨをここに置くのが適当と考え、宣教師館の最上層に立派な広間を造った。オルガンチノはすでに二十五六人の少年武士を集め、教育をはじめていたのであるから、ワリニャーニはそれに対して、有馬のセミナリヨの場合と同じ注意・規則・時間割などを与えた。日本語の読み書きと共に、ラテン語の読み書きを教え、ほかにオルガンで歌うこと、クラボを弾くことなどを仕込むのである。