轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
やまのじんせい
山の人生
柳田 国男
山の人生「アサヒグラフ 第四巻第二号~第五巻第七号」朝日新聞社、1925(大正14)年1月7日~8月12日<br>山人考「大正六年日本歴史地理学会大会講演手稿」1917(大正6)年11月18日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 116,022 字 · 226 页
もう年を取って死ぬ日が近くなった。日ごろ親しくした井上氏と、再会の期もないのは悲しいと落涙し一筆認めてこれを托し、なお井上が子供にもよく孝行をして学問を怠らぬようにと、伝言を頼んで別れたそうである。梅菴は野狐にして僧、長斎一食なりとあって、何だか支那の小説にでもありそうな話だが、現に鳥啼花落が遺っているのだからしかたがない。しかし『宮川舎漫筆』巻三には、早同じ話に若干の相違を伝え、公表せられた狐の書というものにも、野干坊元正と麗々と署名がしてあった。
実際この類の狐になると、果して人に化けたのやら、もしくは人の形になりきっているのやら、その境目がもうはっきりしてはいなかった。それ故にかえって本人の方から、たとえ露骨には名乗らぬまでも、やや自分の狐であることを、暗示する必要があったと見える。空菴という狐が自ら狐の一字を書したことは『一話一言』にあり、また駿州安倍郡の貉は狸という字に紛わしい書を遺した。しかも他の一方においては、人が狐に化けたという話も近世は存外に多かった。物馴れた旅人が狐の尻尾を腰さげにして、わざとちらちらと合羽の下から見せ、駕籠屋・馬方・宿屋の亭主に、尊敬心を起こさせたという噂は興味をもって迎えられ、甚だしきはあべこべに、狐を騙したという昔話さえできている。