轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
しん・へいけものがたり
新・平家物語
吉川 英治
02 ちげぐさの巻
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 123,012 字 · 245 页
父忠盛が、立っている。
『そちは、すぐ、鞍馬口、一条あたりの、見張に立て』と、忠盛は命をくだした。父としての、姿ではなく『――往来人に心をつけ、怪しと見るは質し、洛内より出づるは検め、こよいの痴れ者を、逸するな。いかに、姿、面を変えたればとて、見誤るべき下手人ではない』
『だ、だれですっ、わたくしの、からめとるべき人間は』忠盛のことばも待ちきれず、早口にたずねた。
『遠藤武者盛遠じゃ』
『げっ。盛遠? ……あ、あの盛遠が、袈裟どのを殺めたのですか』
『そうだ』と、重くるしげに『――武者所の名に、大きな汚点がつけられた。こともあろうに、人妻に懸想して』
そのとき、中門の内から、盛遠の叔父、遠藤光遠が、異様な眼と、青ぐろいまでに緊張した面を持って、出て来たが、ここの人影に、逃げるがごとく辞し去った。
下手人と密接な人物と見、多くの眼が、それを振り向いた。いつのまにか、忠盛父子のまわりには、他家の主従も集まって、厚い列をなしていたのだった。
――忠盛は、いま、院の別当との打ち合わせもとげたので、ひとり清盛だけへでなく、他家の衆へも、事件の全貌を、次のように、明らかにした。