轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

しん・へいけものがたり

新・平家物語

吉川 英治

02 ちげぐさの巻

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 123,012 字 · 245 页

青空文庫

世にはあんな佳麗な女性もいたのかと消えない幻影を連れて歩いた。かれのいただく二十歳の春の夜空に、美しい星が一つ、殖えていた。

と、だれなのか、黙って、かれのうしろから、大きく手をまわして背を抱いた者がある。

――賊だな。木辻には、夜な夜な野盗が出るという。清盛は太刀のつかへ、すぐ手をやった。

『平太、棘を立てるなよ。このあいだの宿へ行かないか』

耳もとで、にぶく笑う。なんとそれは、遠藤武者盛遠であった。清盛は、そうと、たしかめ得ても、なお、いぶかりは去らなかった。なんでこんな人も通らぬ京の端を、面をつつんでうろついているのか――と。

『行きたくないか。いつぞやの、六条の遊女宿へ』

盛遠はいった。――行きたいさ、と清盛の胸は一も二もなく反響する。が、心のわからない男だとも深く怪しむ。

『……来いよ。待っていたのだ。たそがれ、わぬしが、青毛をひいて、渡のやしきへ行ったのを見かけたので』

こういうと、盛遠はもうのみこみ顔な足どりだった。何か、この男にはぐいぐいとひかれるような力をかれは感じる。いや、盛遠にあるのではなく、あの板壁と素むしろに住む、売女の肉にあるのかもしれない。