轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
しん・へいけものがたり
新・平家物語
吉川 英治
02 ちげぐさの巻
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 123,012 字 · 245 页
冠には、插頭花を付け、藤花の薫りをたもとに垂れ、面に、女のような粉黛をなすくって、わいわいいっている公卿朝臣たちの――その何分の一かの人間は、要するに、危険なる次代の風雲に必要とされている火の粉なのだ。火の粉自身は、それと知らない。ただ、みずからのために、みずからの生存と成功の道はそこにありとして、ひそかに、動いているものにすぎない。
『あ。上皇が、お笑いをふくまれた』
『帝が、お立ち遊ばした。御興深げに仰がれる』
公卿百官は、競馬も見ているが、天皇と院の御気色には、のべつ気をつかっている。このような敏感が、どうして、天皇のおこころと、上皇のお胸のうちとに、永劫、解けあわないでいる父子にして父子に非ざる感情を、見のがしているものではない。
競馬の番数は、すすんでいた。
午となり、馬場の土は、乾いて、埃がたかい。
『ぼんやりと、どうなすった? ……。渡どの』
清盛は、武者溜りとなっている幄舎の横で、ふと、源ノ渡を見かけて、そうたずねた。
渡があれほど熱心に、きょうを機会としていたのに、どうしたことか、武蔵青毛の、例の四白の四歳駒は、出馬の番組に、書かれていない。