轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

しんしょたいこうき

新書太閤記

吉川 英治

07 第七分冊

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 200,903 字 · 400 页

青空文庫

その二十一日の朝、秀吉は、石井山の本陣に立って、諸将とともに、

「あな、目ざまし」

と、一夜のうちに変貌した泥湖を見ていた。

壮観といおうか、惨憺といおうか、夜来の雨を加えて、濁り漲った水は、高松城ひとつを、その湖心にぽつんと残しているほかは、その石垣も、濶葉樹の森も、刎橋も、屋敷町の屋根も、部落も、田も畑も、道も、水底にかくして、なお刻々、水嵩を増していた。

「足守はどの辺?」

秀吉の問いに、官兵衛が、はるか西に煙っている一叢の松林を指さして、

「御覧じませ、あの辺りの堤が、百五十間ほど切ってあります。足守の本流を堰かれた水は、彼処からあふれこんでおりまする」

「――すると、あの北にある小高い山が、虎之助清正のおる陣所だな」

「そうです」

「敵の左翼、長良山とは、最も近い。――於虎も腕をうずかせておろう」

秀吉は眼を、そのまま、遠い山々の線に沿って、西から南へとうつしていた。

国境、真南の空に、日差山が見える。

きょうの夜明けとともに、この山には小早川隆景の旌旗が無数に見出された。おそらく夜のうちに着いて陣営を布いたものであろう。ここの兵力だけでも二万は下るまいと察しられる。