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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
07 第七分冊
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 200,903 字 · 400 页
饗応役褫奪の恥を、軍令状の中にまで及ぼし、明智家の不面目を戦陣にまで曝さるる苛酷なお仕打というしかない)
と、恨み合ったものである。
進士作左衛門は、このことが、やはり安土一般の人士にも、相当注意されているらしいと、自己の観察をつけ加えて、
「必定、領土がえが行われて、この坂本四郡は、やがて蘭丸へ下される思し召しであろうなどという風説の出所も、軍令状の表に示された格下げの御意志を、みなが敏感に読みとって、沙汰し廻るものと考えられる。……何しても、心外千万なことだ。無念というも云い足りぬ」
語り終っても彼はなお幾たびも、膝にかためている拳を眼へやっては、暗然と、鳥肌のようになった面をそむけていた。
折ふし黄昏れていたので、各※(二の字点、1-2-22)の居ずまいと壁を繞って夕闇がふかくたちこめ、その後は、たれひとり口をきく者もなく、ただ頬をつたう涙ばかりが白く見えたが、このとき大廊にあたって侍たちの跫音が聞えたので、さては、殿のお帰りと、人々はあらそって出迎えに出てしまった。
ひとり進士作左衛門だけは、召しのあるまで、旅装も解かずにひかえていた。終日、山を歩いて戻った光秀は、風呂に入り、夜食をとってから、作左衛門を招いた。