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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
07 第七分冊
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 200,903 字 · 400 页
「たくさん寝て来い」
と、室から放した。
午を過ぎてから、べつな部屋に、秀吉はまた官兵衛、彦右衛門、そのほか、六、七名の将をあつめて謀議していた。宇喜多秀家も若年ではあるが、当然、一方の大将として、ここには参加していた。
「――敵の七城は、ここと、ここと、これであります」
秀家と官兵衛とは、専ら地理を説明していた。秀吉の眼を落している絵図面へいま傍らから解説を加えているのは官兵衛だった。
「高松の城から西北三里余に、足守と申す町があります。そうです、その辺にござります。――その足守の裏山に、宮路の一城があり、これには乃美元信が兵五百余をもってたて籠っておる筈。また、そこより少し東に、冠山の城があり、これには林重真が守備をなし、兵数は三百五、六十と見れば間違いのないところでしょう」
「して、高松の主城には」
「平常、ここには、やはり六、七百の兵力しかなかったのですが、毛利方の末近左衛門が、約二千の兵をひきつれて来援し、城下の農民女子老幼を悉く収容しておりますので、頭数にすれば五千から六千人のあいだかと考えられます」
「そうか。そんなにおるか」
ここで、そうか――と呟いた秀吉の独り語のうちには、後に思い合わせると、すでにこの一瞬、彼の胸には、或る大計がもう立っていたものらしかった。