轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

しんしょたいこうき

新書太閤記

吉川 英治

07 第七分冊

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 200,903 字 · 400 页

青空文庫

そこへ出るまでは、いくら撃たれても、斬って出るな。おれが、よしというまで、勝手に斬って出てはならんぞ」

と、かたく戒めた。

この砦の弱点は、確かに、市松が眼をつけたその飲料水の溜にあった。

彼は、そこへ奇襲して、水之手番の兵、二、三十名を撃ち取り、つづいて、

「水門を破壊しろ。池の堤を切りくずせ」

と、命じた。

山上から中腹の城内へ、津波のように濁水が押し流れて行った。

「水之手へ敵が襲った」

と聞くと、城中の兵は、戦わないうちから士気を失ってしまった。なぜなら、そこを占領されては、一滴の飲用水も他から求め得ない地勢にあるからだった。

「あんな所へ、どうして敵が現われたろう」

城将の乃美元信は、守備の誤算にうろたえた。彼としては、万全な備えをしていたつもりだったに違いない。

「水之手を奪回しろ」

当然、こう下知して、城兵をまとめてみたが、山城に位置していながら、奇襲の敵は、自分たちより高い所にいるのだった。それに下を防ぐことのみに専念していた構えが、逆に頭上から敵をうけたので、ほとんど、戦意は昂らない。

それでも、山上へ向って、すこし登りかけると、市松の手勢は、岩、樹木、石ころ、思いのままを、下へ落した。