轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
ちじんのあい
痴人の愛
谷崎 潤一郎
「大阪朝日新聞」1924(大正13)年3月~5月<br>「女性」1924(大正13)年11月~1925(大正14)年7月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 179,399 字 · 353 页
「西洋人はずうずうしくって困りますのよ。さっきもわたくし、ほんとに弱ってしまいましたわ」
そう云ったのは菊子でした。
「では一つ願いますかな」
私は綺羅子が待っているので、否でも応でもそう云わなければならないハメになりました。
一体、今日に限ったことではありませんけれども、厳格に云うと私の眼にはナオミより外に女と云うものは一人もありません。それは勿論、美人を見ればきれいだとは感じます。が、きれいであればきれいであるだけ、ただ遠くから手にも触れずに、そうッと眺めていたいと思うばかりでした。シュレムスカヤ夫人の場合は例外でしたが、あれにしたって、私があの時経験した恍惚とした心持は、恐らく普通の情慾ではなかったでしょう。「情慾」と云うには余りに神韻漂渺とした、捕捉し難い夢見心地だったでしょう。それに相手は全然われわれとかけ離れた外人であり、ダンスの教師なのですから、日本人で、帝劇の女優で、おまけに眼もあやな衣裳を纏った綺羅子に比べれば気が楽でした。
然るに綺羅子は、意外なことに、踊って見ると実に軽いものでした。体全体がふわりとして、綿のようで、手の柔かさは、まるで木の葉の新芽のような肌触りです。