轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
いしかりがわ
石狩川
本庄 陸男
「石狩川」大観堂、1939(昭和14)年5月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 253,535 字 · 506 页
よろめく思いを男の子の肩に手をかけて支えようとした。すると子供は駈けだして父の手にとびすがっていた。
「ようお帰りなされました」
そういう夫人に、うん――と頷いて、邦夷は子供の手をひきながら前を通った。つづく人々は、順序によってその後に従い、夫人の前に帰還の挨拶をした。小砂利の道を足音がざくざくと入りみだれた。
館のあるじは正面の玄関に立った。手燭をささげた小間使が両側に控え、式台には、少し傍らに寄って、裃に正装した神山外記が出迎えていた。彼は平伏して云った。
「ご安着のほど、まことによろこばしく存じあげます」
「おお」
邦夷は目を見はった。昔のままの仕来りがそのうす暗いところに遺っていたのだ。おくれ毛もなく結いあげたその男のごま塩あたまを、手燭の光りに透かして見下していた。
小間使が彼の旅装束を取りだした。ここまで来ると、すべては周囲のものが身の始末をつけてくれる。連れだって来た供のものも昔の家臣のように勿体ぶって庭先に控えている。何事も主君を第一にして、それが済まなければ自分らは寛げないとする。
外記は小腰をかがめて、小間使にあと先を照らさせながら書院に導いた。