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いしかりがわ
石狩川
本庄 陸男
「石狩川」大観堂、1939(昭和14)年5月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 253,535 字 · 506 页
反身の刀を肩にかけ、あぐらの中に手をつっこんでいた。膝を小刻みに顫わしているものもあった。
相田清祐はその手紙の何度目かを、また初めから読みだしていた。そうして、求められたところに来ると一段と声を高めた。
「――おいおいご同意なされソロかたがたは左記の通りにござソロ――柳川源達どの、同じく春勝どの」
それをまた人々は、何度目かの耳を傾けて聴き入っていた。
過ぎた日のことがこと新しく話に出た。薪を集めに下船して、陸に置き去りになったものが膝を乗りだした。ユウフツからシコツを越えた苦しさが語られた。あのときは夷人の船に乗せられたのだ。しかし、今はお国のものの手によって、お国の船が動いているという。それだけで海上の危険は去ったようにも思われた。
火はさかんに燃えつづけた。炊事係りのものは焚き火の番をしていた。夜更けの寒気を追い出そうとする。
「一献――炊事の方? なくては叶わぬところでござるな」
「湯なと進ぜようか?」
「湯とは?」
「ここに沸いておりますわい、氷をうち砕いて汲みあげたトウベツ川の水――酒好きには、化して薫酒となるやも知れず」
「なるほど――」
「茶の味ならば玉露に似るか」