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はなとりゅう
花と龍
火野 葦平
花と龍「読売新聞」読売新聞社、1952(昭和27)年6月20日~1953(昭和28)年5月11日<br>あとがき「花と龍(下巻)」新潮社、1953(昭和28)年7月31日<br>解説「火野葦平選集 第五巻」東京創元社、1958(昭和33)年
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 410,131 字 · 824 页
山下松次の命を受けたといって、助役がやって来た。
「お前たちは、すぐに、山下組を出てくれ。親方もこれまで我慢しとったが、どうも、お前たちのため、吉田親分に、顔が悪うなってしもうた。彦島から、一時も早う、足を抜いてくれ」
「承知しました」
と、金五郎は答えた。抗弁する気持は、はじめからなかった。
助役が帰ると、マンがいった。
「金五郎さん、これから、すぐ、出ましょうよ」
「そんなに急がんでも、ええ。新公にも、ちょっと、相談があるけ」
「あたし、こうなったら、もう、一分も、こんなところに居るの、いややわ。それに、新さんはいませんよ。今朝、あたしが飯代部屋に寄ったら、昨日から、別府温泉に行って、半月ほど帰らん、ということでした」
「そうか」と、金五郎は、沈痛に、首を振って、「君香と一緒じゃな。傷の療養に行くのはええが、どうも、あの君香と、変な風になるのは、感心せん。新公も、考えが足らんなあ。君香は、誰か、……吉田磯吉じゃないらしいが、……その身内の、うるさい奴の二号らしいけ、どうせ、碌なこたない。いっぺん、忠告しようと思うとったんじゃが……」
「別嬪さんの誘惑にかかると、男って、もろいのね。