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はなとりゅう
花と龍
火野 葦平
花と龍「読売新聞」読売新聞社、1952(昭和27)年6月20日~1953(昭和28)年5月11日<br>あとがき「花と龍(下巻)」新潮社、1953(昭和28)年7月31日<br>解説「火野葦平選集 第五巻」東京創元社、1958(昭和33)年
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 410,131 字 · 824 页
でいろどられている蛇腹などが、ものすさまじくいきいきとしていて、どちらも、前肢には、宝珠がつかまれている。
それは、金五郎の肌理のこまかい、光るばかりの白い皮膚のうえに、青々と、美しく、浮きあがっていた。
「金五郎さん、いかが?」
あまりのおどろきで、返事の出ぬ金五郎は、両手で、交互に、自分の腕をさすってみた。生身の腕と、鏡の中とを、いく度も見くらべた。腕の彫青が、彫られたものではなく、絵筆によって描かれたものであることは、すぐわかった。
やっと、われにかえったように、金五郎は、女の方を向いた。
「お京さん、これ、あんたが描いたのですか」
「そうよ。お気に召して?……」
金五郎は、唸った。あらためて、お京の顔を見なおした。
「これも、あたしが、自分でやったの」
そういったお京は、いきなり、くるりと、着物の右袖を、肩のつけ根までまくった。牡丹に蝶の彫青のある腕を出すと、それを、金五郎の左腕に、ぴったりと、くっつけた。
「自分でやった、というのは?」
「あたしが、彫ったの」
「あんた、彫れるのかね」
「彫れるわ」
金五郎は、道後温泉での記憶を呼びおこした。鍛冶屋の清七と二人、「神の湯」