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はなとりゅう

花と龍

火野 葦平

花と龍「読売新聞」読売新聞社、1952(昭和27)年6月20日~1953(昭和28)年5月11日<br>あとがき「花と龍(下巻)」新潮社、1953(昭和28)年7月31日<br>解説「火野葦平選集 第五巻」東京創元社、1958(昭和33)年

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 410,131 字 · 824 页

青空文庫

式が派手で、金がかかるほど、養子をつなぎとめる鎖が太いわけなのである。

雪の降る日であった。

「お前は、がいな親孝行者ぞな」

厄払いができたうえに、まさかのときには、養子先から、金の引きだせるあてもできたので、嫂のスギは、大満悦である。急に、金五郎を、下に置かぬあつかいをした。

鍛冶屋の清七には、どうしても、友人の計算がわからない。黒石家には、「死んでも行かん」といっていたのだから、金ができたら、やめればよさそうなものだ。玉井家が、破算するかせぬか、その瀬戸際の運命を賭して、狡猾な※にぶっつかった。養子に行くなら、と、ペテンのような戦術にひっかかった。やむなく、承諾した。ところが、その帰りに、偶然にも、丁半バクチに加わって、大勝利を博したのだ。※から受けとった以上の金が、ふところに入ったのである。

「金坊、※に、銭もどして、黒石の養子、やめたら、どがいぞな?」

そう忠告したのに、

「銭金のことじゃない。男が、いったん、約束したことは破られん」

金五郎は、不機嫌にそういっただけであった。

よろこんだのは、ヤスである。永年の宿願がかなったのであるから、露骨に、不器量な顔をほころばせて、どんなつまらないことにも、うれしげに、げらげら笑った。