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はなとりゅう
花と龍
火野 葦平
花と龍「読売新聞」読売新聞社、1952(昭和27)年6月20日~1953(昭和28)年5月11日<br>あとがき「花と龍(下巻)」新潮社、1953(昭和28)年7月31日<br>解説「火野葦平選集 第五巻」東京創元社、1958(昭和33)年
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 410,131 字 · 824 页
もう一回だけ、いいます――民政党に入党して下さい」
「それで、わたしがしないといったら、この場で殺すというのじゃね?」
「そうです」
「そんなら、仕方がない。殺して貰おう」
「命にかけても、入らないというのですね」
「吉田の親分さんも大人気ないな。大民政党が、たかが玉井金五郎一人を、そんなにまで邪魔にするとは解せん。また、中立団の方も、わたし一人、居ったところで、居らんところで、格別、力が弱まることはない。正義というものは、個人には関係がないからじゃ。今、君たちがわたしをここで殺したところで、正義が消え去るもんでもない。いや、わたしを君たちが殺したことが、後でどんな形になって、燃えあがるか、面白いところ、わたしは一度は死んだ男、女房子供達も、この街では、閾をまたいで外に出れば、七人の、……いや、百人も二百人もの敵のあることは、覚悟のまえ、こうなることは約束ごと、きれいに斬られてやるけ、どこからでも、料理しなさい」
金五郎にも、いつか、芝居気が出ていて、言葉にも台詞まがいの変てこなめりはりがついていた。そうなれば、一種、自虐的な放棄感情が、さらに、金五郎を、羽目を外した滑稽さへ駆りたてる。