轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
はなとりゅう
花と龍
火野 葦平
花と龍「読売新聞」読売新聞社、1952(昭和27)年6月20日~1953(昭和28)年5月11日<br>あとがき「花と龍(下巻)」新潮社、1953(昭和28)年7月31日<br>解説「火野葦平選集 第五巻」東京創元社、1958(昭和33)年
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 410,131 字 · 824 页
温泉宿も一軒きり、古ぼけた二階家を青ペンキで塗ってある。強いて取り柄をいえば、縹渺たる響灘を望む景色のよさと、魚の新しさくらいのものであろう。その温泉宿「かもめ館」の二階に、湯上り姿で、寝そべっている二人の男女――唐獅子の十郎と、お葉とが、一杯きげんで、話をしている。
五月の空は深く澄みきって、渚にうちよせる波のひびきが、紺青空の天をふるわせているようだ。潮と海苔の強烈な香が、北風に乗って、窓から吹きこむ。沖には、たくさんの漁船が出ている。
「若松というところは、お前のおふくろから聞いてたよりも、もっと、ひでえ街だなあ」
十郎は、ガラスの欠片で、額に出来た傷に、絆創膏を貼っている。
「おッ母さんが、心配するはずでしょう?」
「まったくだ。よくも、玉井金五郎てえ男が、今日まで命があったものよ」
「友田喜造が――玉井がこんなに大きくならん前に、かたづけとくんだった。……なんて、口惜しがってるとさ。ここまで、玉井組が根を張ったんじゃあ、いくら、吉田一派だって、うっかりしたことも出来まいからね」
「それで、お葉さん、玉井のおかみさんと会談した首尾は?」
「あたしも、正直、おどろいたよ。