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はなとりゅう
花と龍
火野 葦平
花と龍「読売新聞」読売新聞社、1952(昭和27)年6月20日~1953(昭和28)年5月11日<br>あとがき「花と龍(下巻)」新潮社、1953(昭和28)年7月31日<br>解説「火野葦平選集 第五巻」東京創元社、1958(昭和33)年
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 410,131 字 · 824 页
と、マンが、感慨をこめて、いえば、
「随分、若い衆も殺した」
金五郎は、死んだ子分のことを、瞼のうるむ気持で、追懐する。
石炭の沖積は、危険な作業である。ことに、小籠の担ぎ荷役が、ウインチ捲きになってから、急激に遭難者が増した。ロープが切れて落下した大籠の下敷きになって、死んだ者は多い。死ななくとも、不具癈疾者になった者は、数知れない。
金五郎は、名簿から、数十人の死んだ子分の名を書き抜き、安養寺の和尚に、卒塔婆をつくって貰った。
夕刻になると、花火が打ちあげられる。弁財天浜に、街の人たちが集まって来る。その多くの人々の手には、燈籠提灯がぶら下げられている。岸壁には、十隻ほどの川舟がつながれている。どの舟にも、舷に竹の櫓が組まれてあって、それに、ずらりと美しい燈籠提灯が吊られる。盂蘭盆会のための提灯なので、どれにも、戒名が書いてあり、紋章が入っている。
「さア、皆さん、お乗り下さい」
羽織袴姿で、金五郎は、組合の人たちといっしょに、参詣人の世話をする。
川舟には、どれも、きれいな茣蓙が敷いてある。街の人たちは、男女老若、指図にしたがい、履物を手に持って、乗りこむ。