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ちょうにんげんエックスごう

超人間X号

海野 十三

「冒険クラブ」1948(昭和23)年8月~1949(昭和24)年5月号、「超人間X号」光文社、1949(昭和24)年12月刊行の上記単行本で完結

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 89,025 字 · 178 页

青空文庫

これはみんな市長の谷博士がこしらえて、私たちにつけてくだすったのです」

大学生はおどろいて、引きかえした。立ち木が人と同じような感覚を持っているなんて、そんなことがあっていいだろうか。もっとも谷博士の人工電臓のことを知っている者なら、それがうそではないと思うだろう。

「この三角岳メトロポリスには、われわれ木のほかに、昆虫、鳥、小さい獣、石などにも、人間と同じように考えたり、お話をうけたまわったり、ご返事できる者が、たくさんいるのですよ」

「ふしぎだ。それはいったい何のためです」

「生化学の研究が、生命と思考力を持った電臓を作りあげることに成功したのです。これによって、あらゆる物品は、生命と思考力を持つことができるのです。谷博士のすばらしい研究です。こうして種あかしをしてしまえば、ふしぎでもなんでもありませんでしょう。ねえ、学生さん」

「ありがとう。では、お別かれします」

大学生は立ち木に礼をいって、いそいでそこを立ちさった。こんなおそろしい目に出あったのは始めてである。二人は、三角岳研究所の見えるところまで来たけれども、研究所の建物の奇妙な形を見ると、おそろしさが急にこみあげて来て、そっちへ廻って行くのはやめにした。