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ちょうにんげんエックスごう
超人間X号
海野 十三
「冒険クラブ」1948(昭和23)年8月~1949(昭和24)年5月号、「超人間X号」光文社、1949(昭和24)年12月刊行の上記単行本で完結
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 89,025 字 · 178 页
ところがその時は、キャーッという叫びと、ズーズーという雑音がはいるだけで、かんじんの博士の考えは、何一つX号に分からなかった。
「はてな。こんなはずはないが。どうしたのかな。機械の故障かな。それとも博士がいつのまにか、ほんとうのサルに退化したんかしら」
さすがのX号も、この時は、思わず首をひねったのである。
その時、うしろの廊下から、一人の機械人間があわててとびこんで来た。
「毒ガス注入終りました」
「よし、それではすぐに圧縮空気を吹きこんで、毒ガスを追いだせ」
「はい」
消毒作業はまもなく終った。
「それでは火焔放射器で、この扉を焼ききれ」
「はい」
一人の機械人間が、火焔放射器を扉にむけ、またたくまに、錠はとけて焼けおち、扉はガタンとひらいたが、中には五人の少年とサルが毒ガスにやられて、倒れていると思いのほか、残っているのはからの檻だけ――中には何もはいっていなかった。
「しまった。まんまと小僧めと博士にしてやられたわい。さては博士はサルと入れかわって、となりの部屋から逃げだしたと見える。だが、どうしてこの階から上へ逃げだしたろう」
X号はがくがくとからだをふるわせて、興奮しきっていたのである。