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ちょうにんげんエックスごう

超人間X号

海野 十三

「冒険クラブ」1948(昭和23)年8月~1949(昭和24)年5月号、「超人間X号」光文社、1949(昭和24)年12月刊行の上記単行本で完結

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 89,025 字 · 178 页

青空文庫

X号は鬼のように、頭髪を逆立てさせて、火花の息を吹きだした、

「そんなことをしてしまったら、きさまらだって生命はないぞ」

「もとよりそれはかくごのまえだ。X号よ。では永遠におさらばだよ」

博士の声は、ぷつりと切れた。しかしそれと同時に、その部屋の短波受信機は、次のようなことばを捕えたのだった。

「――武装警官隊に告ぐ、武装警官隊に告ぐ。三角岳研究所はまもなく、原子爆弾によって爆発する。三角岳から急速待避せよ。爆発は、あと十分後の予定、緊急待避せよ。緊急待避せよ――

もちろんX号も、原子爆弾の威力は十分に知っていた。いま、地下一階から七階までの工場で製造している原子爆弾と、その材料のウラニウムが、ぜんぶ一度に爆発したら、この研究所の建物は、あとかたもなく吹きとばされてしまうのだ。

「よし、残念だが、背に腹はかえられない。十分のあいだにここを逃げだして、再挙をはかることにしよう」

X号も、ついに最後のかくごをきめたのである。

「L19号、L19号」

X号はラウドスピーカーに向かってよびかけた。

「はい。ご用はなんですか」

「五分以内に、原子爆弾全部と、原料ウラニウムを、二十四階に運びあげろ」