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ちょうにんげんエックスごう

超人間X号

海野 十三

「冒険クラブ」1948(昭和23)年8月~1949(昭和24)年5月号、「超人間X号」光文社、1949(昭和24)年12月刊行の上記単行本で完結

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 89,025 字 · 178 页

青空文庫

「先生、まだ手術はしてくださいませんね」

警部は、小わきにかかえている自分のもとのからだを見て、心配そうにたずねた。

「いまはそんなことをしているひまはないよ。もう少し待ちたまえ」

博士は機械をいじりながら、それどころではないというように、いらいらした調子で答えた。

「でも、それでは、夏ですから、からだがくさってしまいますよ」

なるほど、警部にとっては、それこそ天下の一大事である。

「それが心配だったら、冷蔵室へ入れておきたまえ」

「この中には、冷蔵室はあるのですか」

「もちろんだよ。この下の二階の中央のM17と書いてある部屋だ」

「ああ、それでやっと安心した。では行って来ましょう」

山形警部は、あぶら汗を流しながら、自分のからだを背負って、えっちらおっちら歩きだした。こういう危急存亡の時でなかったら、それは吹きだしたくなるような、珍妙な光景であったろう。何しろ、女学生みたいな若い娘が大の男の裸のからだを背負って歩いているのだし、この精妙な操縦装置の前に坐って、機械をいじっているのがサルなのだから――

「よし、機械の調子はしごく良好だ。それではだまって爆撃するのも卑怯だから、X号に最後の宣告をくだしてやろう」