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ちょうにんげんエックスごう
超人間X号
海野 十三
「冒険クラブ」1948(昭和23)年8月~1949(昭和24)年5月号、「超人間X号」光文社、1949(昭和24)年12月刊行の上記単行本で完結
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 89,025 字 · 178 页
そして割りきれない胸をいだいて、病院を引きあげたのであった。
いよいよ怪しいかぎりの超人間X号は、今いずこにひそんでいるのだろうか。ダム爆破以来、ここに十三日になるが、彼の所在はさっぱり知られていないのだった。
ところが、その日の夜、三角岳の南方四十キロばかりの地点にある九鬼刑務所で、死刑執行中に、怪しい影がさしたという事件があった。
死刑は絞首台を使うことになっていた。
死刑囚は、毒殺で八人を殺したという罪状を持つ火辻軍平という三十歳の男であった。
この死刑に立ちあった者は、三人であった、一人は執行官、もう一人はその下でじっさいの仕事、つまり死刑囚の首に綱をかけたり、死んだあとは死骸をひきおろしたりする執行補助官、もう一人は教誨師であった。
すでに用意は終り、死刑囚火辻は絞首台の上にのぼり、補助官によって首に綱の輪がかけられていた。それに向かって、十メートルはなれて、執行官と教誨師が並んで所定の席についていた。おりから東の空からのぼりはじめた月が明かるく、この死刑場を照らした。塀のそとにすだく虫の声も悲しく、凄惨な光景であった。
立ちあいの執行官は時計を見ながら、命令の時間になるのをまっていた。