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ちょうにんげんエックスごう
超人間X号
海野 十三
「冒険クラブ」1948(昭和23)年8月~1949(昭和24)年5月号、「超人間X号」光文社、1949(昭和24)年12月刊行の上記単行本で完結
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 89,025 字 · 178 页
それからあとは何事もなかった。
絞首にきめられてある時間がたった。
執行官は、手はずのとおり、死刑囚の死体をおろすように信号を送った。
すると宙ぶらりんになっていた死体は、すーッと下へおりていって、やがて穴の中に見えなくなってしまった。
(なあんだ、補助官は、やっぱり死刑台の地下室に待っていたのか)
執行官は安心した。
執行官と教誨師は、そこで顔を見あわせたが、さっき死刑囚に近づいた奇妙な影については、どっちも何にもいわなかった。そんなことをいうと、いかにも自分が死刑執行に立ちあって、心をみだしているように、相手に思われるのがいやだったからである。
二人は、連れだって、死刑台の下の地下室へおりていった。
そこにはいつものとおり、補助官が死んだ死刑囚の首から、絞首綱をはずしていた。
「大丈夫かね」
執行官は、補助官に声をかけた。
「はい。うまくいきました。異状なしです」
と、補助官はまったくふだんの調子でこたえた。何か異状か、怪しい人物を見かけたことでも訴えられるつもりでいた執行官はひょうしぬけがした。
「君は、さっきこの死刑囚のそばへ行ったのか。いや、まだぼくが、死刑囚の足の台をひかない前のことだ」