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ちょうにんげんエックスごう

超人間X号

海野 十三

「冒険クラブ」1948(昭和23)年8月~1949(昭和24)年5月号、「超人間X号」光文社、1949(昭和24)年12月刊行の上記単行本で完結

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 89,025 字 · 178 页

青空文庫

だから村人は、博士のえらいことを尊敬していても、博士をしたう心を持つ者はいなかった。

学者という者は、こんなにごうまんなものであって、農夫や炭焼きなどを相手にしないものだと、昔からのいいつたえで、そう思っていたのだ。

ところが、こんど博士は、いやに腰がひくくなった。だから、昔を知っている者たちはおどろいたのである。おどろいて、顔を見あわせた。ものはいわなかったけれど、目つきでもって、村人はおたがいにいいたいことを察した。

(博士さまは、えらくかわったでねえか。えらく腰がひくくなっただ)

(ほんに、そのことだ。どうしたわけだんべ)

(ああ、分かった。このまえ、ほら、あの研究所の塔さ、雷さまのためにぶっこわされてから、心がけがすっかりかわって、やさしくなったんだろう)

村人は、そのくらいのことを考え、その先を考えなかった。なぜ博士が急にこう物腰がひくくなったかについて、もっと深く考えることをしなかったのだ。素朴な村人たちは、博士が自分たちを友だちのように、したしげに話しかけてくれることにたいへん満足をおぼえた。そのうえに、こんど博士が、大きな金もうけをさせてくれるといったのにたいし、好感をよせたのだ。