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さこく
鎖国
和辻 哲郎
日本の悲劇
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 443,306 字 · 875 页
この声に耳を傾けた王は総司令官に反省を促した。がアルブケルケはゴアの奪回を非常に重大視していた。この勝利は過去十五年間インドに送られた艦隊全部がなした仕事よりももっと有効である。陸に堅固な足場がなくてはポルトガルのインドに於ける勢力は永続きがしない。コチン、カナノルその他のどの城も、意義価値に於てはゴアと比較にならないのである。ゴアを放棄すればインドにおけるポルトガルの支配は終るであろう。自分は本国に敵を持つことを知らないではないが、どうかそれらに耳を傾けないでほしい。これがアルブケルケの意見であった。今や彼はインド洋の制海権を得るために陸地の支配が必要であることを確信するに至ったのである。これはアルメイダの見解に比すれば明白に植民地略取の方へ歩を進めているのであるが、しかし本国の見解と対立するに至ったという点では、アルブケルケも結局アルメイダと同じ境遇に追い込まれたと云ってよい。
しかし最後の破局が来るまでには彼はなお二つの遠征を遂行している。その一つは王の命令によって止むを得ずにやった紅海遠征である。一五一三年二月に艦隊二十隻、ポルトガル兵千七百、インド兵八百を以て出発した。