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さこく

鎖国

和辻 哲郎

日本の悲劇

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 443,306 字 · 875 页

青空文庫

が特に重要なのは、それらよりも一層熱心にキリスト教伝播の運動が先へ先へと押し進められ、その形に於てポルトガルの勢力が日本にまで到達したことである。

探検と貿易との仕事としては、アルブケルケがマラッカを攻略した一五一一年の末にモルッカ探検に派遣された三隻の船が、アンボイナまで到達した。内一隻は難破し、船長フランシスコ・セランは部下と共にあとに残って、本来の香料の島テルナーテに来た。この報が一五一三年春マラッカに着くと、セランを迎える船隊が派遣され、これが香料の島テルナーテとティドールとの間の引っばり凧になったのである。セラン一人はなおテルナーテに留まったが、この時彼のマガリャンスに宛てた手紙が、世界一周航海を刺戟したといわれている。というのはセランがマラッカからモルッカへの距離を非常に誇張して報告し、バスコ・ダ・ガマ以上の大仕事をなしたかの如く吹聴したからである。マガリャンスはこれに基いて計算し、香料の島がポルトガルに許された半球よりも東へ出ていること、従って西廻りの方が近いことを推論したのであった。

この計算は誤りであったが、しかしマガリャンスの西廻り航海は、一五二一年の秋には遂に実現したのである。